ギャラリー南無(長野県飯田市)での展示記録です。
(2013年5月24日〜27日開催)
主催:初川美術
作品素材/ワークショップ協力:飯田市美術博物館、世田谷美術館、東京造形大学、信州大学、ターナー色彩株式会社
ギャラリー南無は、囲炉裏や養蚕などの遺構が残る、地元の大きな古民家をギャラリーに再生したスペースです。 その古民家の趣を残す母屋と地元赤土壁の離れとの2スペースで展示しました。 
離れの展示について
地元赤土壁を使った日本家屋の要素を取り入れた組替え可能な「空間絵画」(インスタレーション)を展示しました。
表から
この作品は、45㎝の正方形を1単位として、 45×45、45×90、90×90(㎝)の3つのサイズのパネル9枚の組み合わせで構成されています。 9枚をスペースに合わせて自由に組み合わせることで、 その場の空間要素を取り入れた空間絵画を展示しました。 
作品は日本家屋の特徴が、インスタレーションとして作品に取り込みやすい要素を持つように制作しました。 このパネルの基本サイズは畳のサイズから出されているため、日本家屋に自在に合わせることができます。
絵画画面は、描画素材に透過性/不透過性の素材で描かれているため、光の状態(天気や時間の変化)によって、作品の見え方が変わります。
この4枚組の絵画は、天地など画面の位置、4枚の組み合わせ(構成)を空間に合わせて、組み替えることができます。

作品タイトル
『組替え絵画2013-コンポジション、赤土壁にて』(上:インスターレション)
『組替え絵画2013-行雲流水』(下:絵画4枚)
素材:水彩絵具、綿布
制作方法:全身での絵具行為によるワークショップでの素材(綿布)をトリミング、カットしたもの
母屋の展示について
軸物などの絵画とシルクスクリーン、写真の全90点程を展示。
この4枚の絵画も、天地などの位置を、空間に合わせて組み替えることができます。 また透過性/不透過性の素材で描かれているため、光の状態で作品の見え方も変化します。 
綿布に描かれているものは、全身での絵具ワークショップでできた「絵柄を意図されていない」痕跡です。 その痕跡を「どのような絵画表現/絵柄」と位置づけるか、 それは、窓越しの風景から連想されるもの、また見る側の経験や価値観などによって異なり、鑑賞者それぞれの、絵画が現れます。
展示会場でも、鑑賞者から様々な「絵画作品」のイメージを伺うことができました。
作品タイトル
『組替え絵画2013-露、枝、立石、草』
素材:水彩絵具、綿布、メディウム
制作方法:全身での絵具行為によるワークショップでの素材(綿布)をトリミング、カット、縫い合わせたもの
この4枚の絵画も、天地などの位置を、空間に合わせて組み替えることができます。
作品タイトル『組替え絵画2013-起承転結』
素材:水彩絵具、綿布
制作方法:全身での絵具行為によるワークショップでの素材(綿布)をトリミング、カットしたもの (4枚絵画、掛け軸、シルクスクリーン)
(シルクスクリーン制作協力:東京造形大学版表現、生嶋順理教授、木下直耶さん、阿部悠さん、川村景さん)
場/風土と作品について
ギャラリー南無のある長野県飯田市三穂、立石地区は、その名が示すように「石が立つ」「昔、天から石が落ちてきた」との伝承がある、つまりクレーターともいわれるすり鉢状の風光明媚な地形です。 この伝承とともに、地形、伝説、名称、集落形成など人々の生活や思考が、風土と密接に関わっています。
今回展示された作品の多くは、ワークショップ(床一面に敷き詰めた綿布/紙の上での全身を使った描画行為)で出来た素材で制作されています。
ワークショップで出来た素材に描かれているものは、意図された「絵柄/画像」ではなく、ワークショップの「痕跡」であり「現象」です。
そのような「痕跡/現象」が、環境や状況、鑑賞者の体験などによって意味付けされることで、「絵柄/画像/物語」などが表現として現れてきます。そのような時、物事への見え方/認識が、既存の価値観/概念に影響されているか気付かされます。
地形、風土や建築物など「場/空間」への思考や価値観というものが、そもそも、どこからきているのか?何を基準とされているのか?それらが作品を通して再検証される場を提示しました。
(ギャラリー南無とすり鉢状地形/©Tomoko Maezawa)









