飯田市美術博物館(長野県飯田市)での展示記録です。
(2013年5月21日〜6月9日開催)
主催:飯田市美術博物館

飯田市美術博物館では、建築家原広司氏+アトリエ・ファイ設計の空間において「外部と内部が交差する空間要素」と融合する作品を展示しました。

ロビー空間の黒い床と外壁のガラスには鏡のように外部の像が内部に写り込む効果があり、「内部の来館者や展示」と「外部の散歩の人々や自然など風情」が幾重にも重層され、相互にかかわり合う空間が生まれます。
この建築における外部とは地域社会も含まれます。
作品の素材はワークショップ(巨大な綿布上で全身での絵具体験)の地元参加者により出来た綿布を使用し、作品に様々な関係性を取り込み制作しました。

このようなワークショップには、描画行為の身体との関係、人間の発達や認識との関係、風土や季節感との関係、コミュニケーション(声がけ)との関係、素材との関係など、様々な関係が痕跡、現象となって残り、様々な要素が含まれています。
そうしたワークショップで出来た素材をトリミングし縫い合わしキャンバス(画面)に仕立てたものを、凹凸のあるロビースペースの至るところに設置しました。
作品は画面の両面(表と裏)から鑑賞でき、それを建物内外からも鑑賞できます。それにより、鑑賞者の立ち位置で絵画の矩形が、そして光の状況などで画面の表情が変わります。

鑑賞者が空間に立ち作品と対峙する時、空間から見えてくる様々な情報(要素)を無意識のうちに取捨選択し、自己の体験/認識などを元に特定の「作品」としての意味付けが行なわれます。
今回、飯田市美術博物館で展示されている素材は、ワークショップという「絵柄/画像」を意図されていない描画行為で出来たもの、「現象」です。
そのような素材と空間との関係によって、空間を含めた作品からは様々な要素が現れてきます。その現れてきた様々な要素から、鑑賞者が何を「取り上げるか」そして作品としてどのように意味付けされるか、それらは既存の概念/認識に関わってきます。
そのような物事への見方や思考、価値観に対する「既存の概念/認識」の存在そのものを、作品を通して再検証される場を提示しました。



