造形大プロジェクト 映像色彩パフォーマンス


造形大プロジェクト
組替え絵画/私たちの作品を見てください “Cathy projct”
この企画は、1ワークショップ、2作品制作、3レクチャー、4作品(記録)展示という、東京造形大学で開催された4つの一連のイベントで構成されています。

まず、学生参加の絵具ワークショップを開催し、そのワークショップで出来た素材を用いた作品プランを学生から募集し、学生と共に作品制作と展示を行います。プランニング/制作/展示を、話し合いながら進めるとともに、同時に大学内外から、客観的に検証する場(レクチャー/リーフレット)を設け、「制作/作品/美術」について思考し検証します。

この企画では、作品制作における「思考や体験の時間」に焦点を当てています。作品を制作すること、それは時間のかかることです。作品を制作する者にとっての、思考と体験とが積み重なる時間つまり「日常の思考の時間」にこそ、作品の本質が隠されています。作品は氷山の一角で、その見えない部分こそ膨大な思考と時間が支えています。そしてそれは大学やアトリエでの、そして作家活動の大部分の時間を占めています。
このように現出した作品からは「見えないもの、形として存在しにくいもの、残らないもの」である制作における「思考や体験の時間」を取り上げ、「制作/作品/美術」を再考し検証してみようと思い、このプロジェクトを企画しました。

1.ワークショップ
『「美大ってどんな色?」ー絵具でコミュニケーション』
2012年4月26日 東京造形大学CSプラザ吹抜け(東京造形大学付属美術館主催)
10×7.5Mの巨大な綿布の上で、学生が素手素足で全身を使い、水彩絵具でのドリッピングを中心とした身体性・行為性・偶然性・コミュニケーションを伴う絵具表現の体験。

2.プランニング
学生各自の作品や思考、そして美術や制作とは何かついて考え、ワークショップの素材を作品化するプランについての話し合い。

3.作品制作(映像パフォーマンス)
『組替え絵画/私たちの作品を見てください@Cathy project』
2012年12月4日 日没後 東京造形大学1号館ラウンジ

着色された綿布(ワークショップで出来た素材)の上で、参加者は白色の服装で自らがカンバス/スクリーンになり、絵具ワークショップの映像を投影し合うことで、参加者や綿布、空間に絵具が塗られていく。
ワークショップの映像を、複数のプロジェクターから人・天井・綿布に投影する。人へ投影するプロジェクターは自由に動かすことができ、映す映像を自由に操作できる。投影される映像により、人と空間は絵具で色彩豊かに染まっていき、逆に綿布は色彩が混食されて濁っていく。


〜「Cathy」とは自分のなりたい架空のキャラクター〜
by平田梨花子(東京造形大学絵画専攻3年)

「架空のキャラクター=消された個/事象」
参加者は自分がなりたいキャラクターになり、映像の絵具に染まっていく。映像の色彩を自分や綿布にかける(投影する)。色を重ねることで、自分や綿布に描かれた表情などの要素を光や映像で消していき、前提としての個や事象を消していく。

また「架空のキャラクター」には、「自分ルール」を設定することもできる。「自分ルール」が設定されると、参加者はそのルールに従って行動する。ルールは参加者、鑑賞者が自由に設定することができ、設定者の名前がつく。
『ルール原田:全員で人間ピラミッドを作る』

設定されたルール
・一列に並ぶ。転がる
・ハンカチ落とし(ゲーム)
・白い面を最大に広げる。
・白い面を最小に縮める
・日常生活を営む
・馬跳びをする
・扇形になる
・中側から綿布を畳む
・全員が集まって小さくなる
・綿布でテントを作る
・仰向けに寝る 他







4.レクチャー
『時代と絵画』
2012年12月7日 東京造形大学院棟レクチャールームにて開催
講師:南雄介氏

国立新美術館学芸課長で、日本および欧米の近現代美術を専門とする南雄介氏を講師に迎え、『時代と絵画』をテーマに開催された。前半は「戦後日本の現代美術 その国際性を巡って」をタイトルに、「戦後・日本・現代・美術・国際性」という5つの言葉を主軸に検証しつつ、「時代と絵画」についてのレクチャーを行なった。後半はディスカッション形式で行ない思考する場となった。




記録展示
『組替え絵画/私たちの作品を見てください@Cathy project』
2012年1月9日(水)〜11日(金) 10時〜16時30分  東京造形大学CSギャラリー

主催 CS-LAB
協力 東京造形大学付属美術館
企画 東京造形大学絵画専攻
写真撮影 秦義也・小山友也(東京造形大学絵画専攻4年)
東京造形大学 http://www.zokei.ac.jp/smenu/access.html